直腸(ヒト)
A 粘膜筋板
B 単層円柱上皮
大腸 large intestineは虫垂 appendix, 盲腸 cecum , 結腸 colon (上行、横行、下行、S状)および直腸
rectum からなる。大腸も小腸と同様、管状器官としての組織学的基本構築はかわらないが小腸のような絨毛はない。粘膜上皮には吸収上皮細胞は少なく杯細胞の分布密度が高い。陰窩
crypt は深く(腸腺は長く)杯細胞が多いが、パネート細胞はない。固有層内には多数のリンパ球や形質細胞が存在し、リンパ小節が見られることもある。粘膜筋板の内輪層は比較的発達しているが外縦層は散在性に見られることが多い。リンパ小節は粘膜下組織内にも存在することがある。結腸の標本では腹膜垂
appendix epiploica, 結腸ひもtenia coli (自由ひもtenia libera, 間膜ひも
tenia mesocolica および大網ひもtenia omentalis) そして結腸間膜 mesocolon
がみえる。結腸ひもは筋層の外縦層の平滑筋が3ケ所でよく発達したものである。内縦層の筋も局所的によく発達している。直腸の組織学的な基本構築は結腸と変わらない。この標本(26)は死後変化も少なく固定状態もかなりよいので大腸上皮、陰窩(腸腺)の組織学的構造を理解するのによい。腸腺を構成する細胞の大部分が杯細胞となっている。直腸の筋層は比較的発達しているが結腸ひもはない。
註:一般に中皮 mesothelium の細胞は扁平であるが、腹膜垂が接する側の腸管の腹膜中皮の細胞だけがほぼ立方体を呈している。この意義は不明である(S.Kudo)。