肺(ウサギ)

A 肺動脈
B 肺静脈
C 呼吸細気管支
D 肺胞管
E 終末細気管支

標本を弱拡大で見ると多数の空胞が集まってスポンジ状を呈し、しかもこれらが集まって結合組織によって不完全な小区画(肺小葉 pulmonary lobules) が形成されているのが判る。切片の1側には肺胸膜 pulmonary pleura もみえる。小葉間結合組織の中に終末細気管支terminal bronchioles, 肺動脈 pulmonary artery と肺静脈 pulmonary vein の枝、および神経が相隣接して通っている。肺小葉内にも終末細気管支に似た構造が見られるがこれは終末細気管支より分岐して小葉内に分布した呼吸細気管支 respiratory bronchiole である。両気管支の外側には基底膜(呼吸細気管支の末端にはない)、粘膜固有層、筋層(平滑筋)および外膜の順に位置し、粘膜下組織はない。呼吸細気管支が分岐して肺胞管 alveolar duct となり、さらに肺胞嚢 alveolar sacs となる。呼吸細気管支、肺胞管および肺胞嚢の壁に肺胞 alveoli があり、肺胞と肺胞の間を肺胞中隔 alveolar septa という。肺胞腔内、肺胞中隔、細気管支の固有層と外膜には黒色の顆粒状集塊がいろいろの量で分布しているが、これは炭粉など塵埃を貪食した肺胞大食細胞 alveolar phagocytes や組織球 histiocytes (単に macrophages ということが多い)である。 Weigert の弾性染色標本(46)でヒト肺内には弾性線維がかなり多いことおよび血管や細気管支の周囲には特に多いことなどを確認しておくこと。

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